Mr .ソールト オブ NAT WEST BANK (ナショナルウエストミンスター銀行)

イギリスに行く前は私は銀行はお金を預けるところ(か、たまに借りる)と思っていた。ところがMr.ソールトに会ってから銀行のイメージは一変した。
私はイギリスで写真を始めたカメラマンだ。VOGUEの仕事もNINETEENの仕事もさせてもらった。遠くに於いてはイタリア誌のGRAZIA,AMICA迄。渡航する迄はビートルズしか知らなかったのに。生活してみると無口そうな紳士、淑女のイギリス人達はしゃべるしゃべる! おもしろいくらいに! 何と言っても親切。もちろん、シュルードで?なところもたくさん。イギリスのいい所は誰に対しても何を発言しても構わないという所だ。遠慮する必要がない。これはすごく気に入った所。それは言語が下手だからとか言う問題でもないという事もわかった。もちろん上手に喋れるに越したことはない。こういうことは生活しながら徐々にくみ取って行った。
さて、バンク。カメラマンとして生計を立てるにはCAPITAL、お金が必要だ。小道具を買ったり、ね。私はお金が必要になると必ずNATWESTBANKに電話してMr.ソールトとアポイントを取った。BANK MANAGER(店長)なのに必ず本人が電話口に出てくれるんですよね![Hello Miss Oyama , What can I do for you?」と尋ねて来る。「OVER DREW したいんですが..」と言うと「では、いついつBANKにいらっしゃれますか」と言う事で電話を切る。アポイントの日に行くと店長室に通される。しばらくすると白髪のヘヤーで口元にも白く立派なお髭の紳士が三つ揃えのピンストライプのスーツを着て現れる。いつもにこにこされていた。必要経費をメモに数字で書くと「では、その分、小切手を切ってもかまいませんよ」と言ってくれるのだ。私はいつもうれしくなって銀行の表通りのチェルシーをスキップして駅迄行ったものだ。Mr.ソールトのおかげでいつも撮影に必要なフィルムを買ったり、仕事の為に雇った人に小切手で支払う事ができたのだ。車も家も買えた。
白髪にお髭、今でもはっきりとお顔を覚えている。何度お目にかかったのだろう。もう役に立たないけれど未使用の小切手帳は今でも手元に置いてある。去年ロンドンに行った時、NATWESTBAKNK Chelsea Duke of York 支店に行って見たらもうなかった。今度ネットで調べてみよう。
photograpg by Howard Grey